ストレスで寝れない方へ
認知行動療法は、現代心理学でもっともつかわれている療法でしょう。というのも、科学的で、効果が速く、自分でやりやすいからです。
人は、心理的なことで嫌な気持ちになったり、身体に症状がでたり、困った行動をしてしまいます。
生活を振り返ってみると、ストレスによって、過食、運動不足、睡眠不足など悪循環に陥っている方も多いのではないでしょうか?
認知行動療法では、”出来事”が直接に嫌な気持ちを生むのではなく、”出来事によって起きる認知(歪んだ自動思考)”によって、嫌な気持ちが生じて症状や行動に悪影響すると考えます。
そして、その認知の奥底にスキーマ(身にしみついた思い込み:否定的な自己イメージなど)があると考えます。
今回、皆さんの認知の歪みと、その背景にあるスキーマに気づき、心の反応傾向を確認します。
自己否定の仕組みに気づき、悩みやストレスに振り回されない自分をつくりましょう。
認知の仕方で感情がかわる
ここでは、挨拶したのに返事が返ってこなかった場面を想像してください。
「嫌われてるに違いない」と認知することで(自動思考)、落ち込み(感情)、胃が痛くなり(生理)、人と接しなくなって(行動)、また挨拶がへるといった悪循環に陥ってしまいます。
たとえば、「表情が険しかったけど余裕がないのかな」と認知したら(適応思考)、気分や症状、行動は変わり、ストレスにならないかもしれないのです。
基本的には、”苦痛を感じる人の考え方は硬直化しやすく、歪んだものになりやすい”と言われております。
認知の歪みの特定
日頃、モヤッとしたり、イラッとした時、どんな自動思考が浮かびますか?
毎回同じように感じるなら、それは客観的な事実とは違う認知の歪みであることが多いです。
マイナス思考や、すべき思考など、認知の歪みの10種類をまとめました。
たとえば⑩のすべき思考を例にとると、「高熱がでても出勤すべきだ」と自分に向けば自分の悩みに、他人に向けば人間関係のストレスになります。
認知の歪みの変え方
ここでは臨床で有効な3つを取り上げます。
a)リフレーミング
上に書いたように客観的な捉え方をすると感情はどうかわるか確認する。
b)マインドフルネス
自動思考が湧き出ても、否定も肯定もせず、またこんなこと考えてるなと気づくことで、感情と一体化せず客観視する。
c)ポジティブ日記
1日の終わりに今日あった良いことを書く。とくにマイナス思考の方は、過剰にマイナスに傾いてしまうので、ポジティブなことを振り返ることでプラスマイナスゼロにリセットする。
理想と比較するとすべてがマイナスだけど
生きてることを基準にするとすべてがプラスだ
スキーマ(否定的な自己イメージ)とは
スキーマとは、幼かった頃の自分が、親のしつけや境遇など、生育の中で学び取ったものです。人間の場合、うまれてから自立するまでとても長い時間かかるので、できない自分を感じる時期も長く、ネガティブな思い込みが身に沁みついてしまいがちです。
生きていくために必要だったからこそ、それを維持しようと、頭の防衛反応が”認知の歪み”をだして、行動を促進・抑制しようとします。
でも、その仕組みが自己肯定感を下げているので、悩みやストレスが絶えません。
幼い頃には必要であっても、大人となった今は不要な思い込みかもしれません。
自己肯定感を高めるには、こうした自己否定の仕組みに気づくこと。
そして、
自分はどうありたいか(Be)を人生の軸にして、それに合致した行動をとる(Do)ことが大切といわれます。
まとめ
・認知の仕方次第で感情はかわる。
・認知の歪みは自動思考としてあらわれる。
・認知の歪みを変えるには、リフレーミング、マインドフルネス 、ポジティブ日記が有効。
・スキーマ(身に染みついた思い込み)により、自己肯定感がさがる。
・自己肯定感を上げるには、どうありたいか(Be)を軸にして、それに合致した行動をとる(Do)。
ストレスがあっても、他人と過去は変えられませんが、他人や過去のととらえ方は変えることができます。
自分を理解し受け入れることで、他人への理解と受け入れへの道となり、より幸せに生きることができるというのが心理学の先人たちの教えです。