その不調、自然が不足してるから
自然欠乏障害ってきいたことありますか?アメリカの都心の子供たちからうまれた病名で、自然の不足した生活をおくることで、心や体に不具合がおきる障害です。
体のだるさ、不眠、慢性疲労、うつ・・・理由のはっきりしない「不調」に悩まされつづけ、病院や健診をうけても、疲労やストレスと片づけられてしまいがち。
とくに、最近おおいといわれている注意欠陥多動性障害とおどろくほど症状が共通します。
こんかいは朝霧高原診療所の山本竜隆先生から自然欠乏症候群について学んだことをまとめました。
自然が不足した生活
朝、電子音で目がさめ、アスファルトのうえを歩き、空調完備のオフィスでPC画面とむきあい、スーパーの総菜を電子レンジであたため、深夜までTVをみて消灯。
こころあたりありませんか??
さいきんの健康問題のおおくは「働きすぎによる慢性疲労」や「人間関係によるストレス」などいわれてますが、ここであらたな視点として「自然が不足している」ことをとりあげてます。
近代医学の父とよばれるヒポクラテスは、「人間は、自然から遠ざかるほど、病気に近づく」ことをしてきしました。
現代人ならだれもがおちいる危険性がある自然欠乏症候群。
「心も体もすぐれない」「気力・体力ともに不足」という状態があたりまえの状態になってしまっています。
自然欠乏症候群
欧米では子どもたちが「自然」から遠ざかった結果、つぎの症状があらわれました。
・ひとつのことに集中できない。
・落ちつきがなく、じっとしていられない。
・忍耐力がなく、かんしゃくをおこす。
・他人にたいする気づかいができず、友達とうまくあそべない。
さらに、運動機能にかんする症状もあります。
・平衡感覚がとぼしく、よくころぶ。
・視野がせまく、すぐよこでおきていることや、よこからせまってくるものに気づかない。
自然欠乏が招く深刻な症状
人工的な空間では自然のなかほどゆたかな五感のバリエーションはえられないため、本来もっている感覚がおとろえ、世界を感知する能力もまずしくなってしまいます。
自然のなかで五感をつかって周囲に気をくばる感覚的集中とちがい、都会での集中は意識的に何かにむけて集中する指向的集中がおもです。
この結果、行動が衝動的になったり、イライラや焦燥感などに悩まされるようになります。神経がピリピリと鋭敏になり、脳がつかれた結果、オーバーヒートして注意力がなくなってしまいます。
自然欠乏症候群の原因
・自然環境の不足
周囲に「自然」が少ないため、能動的にならないかぎり、自然とせっすることがない。
・人工的な環境
コンクリートや鉄でつくられた建物、内部も新建材や塗料など化学合成物質。接着剤にはホルムアルデヒドによるシックハウス症候群。
シャンプーやタバコなど化学物質が原因となる化学物質過敏症。
・体内に侵入する化学物質
煙草や排気ガスとなって肺から侵入し、農作物は農薬や化学肥料がつかわれ、加工食品には保存料や着色料をはじめとする合成添加物が大量にふくまれ、口をとおして体内に侵入する。
電気製品から発生される電磁波や、パソコン、スマホ、TVからのブルーライトも自然界に存在しないものです。
・地球の自転を無視した生活
昼夜逆転の生活を送ったり、エアコンの恩恵で年間をとおして快適温度で暮らす生活。
単に近くに山や川がないだけじゃないんだね
地球のリズムを無視した生活もだな
自然な生活とは
日本の一般家庭で普通に電気がつかえるようになったのは、約100年前です。
ということは、私たちからおよそ3~4代前の先祖たちは、電気のない暮らしをしていたようです。
・生活サイクル
朝ははやくからおき、夕方になるとその日の仕事は終了。帰宅後は食事や入浴をすませ、はやい時間に寝てしまう。つまり、太陽のうごきにあわせた生活です。
・食事
メインになるのは野菜と魚。肉はめったに食べず、脂肪分の高い食材はほとんどありませんでした。すべての食べ物には旬があり、住んでいる土地以外でとれたものを食べることもありません。
・住まい
高温多湿の日本の風土によくあった、木と紙、そして漆喰または壁土の家にすんでいました。
・環境
自然のすべてが身近にあるのがあたりまえでした。井戸水で煮炊きをし、洗顔をし、土を踏んであるき、緑は常に目にはいってきたことでしょう。
優先順位という視点
自然で健康的な生活をのぞみながらも、不健康で自然と無縁の生活をおくっている。自然欠乏症候群におちいっているすべての人にあてはまる視点とは、優先順位という視点です。
あなたは文明に麻痺していませんか
石油と水どっちが大事ですか
車と足はどっちが大事ですか
理屈と行動はどっちが大事ですか・・・
経済性や利便性を優先するなら、水より石油、足より車でしょう。そして、多少の不調は仕方ないとあきらめる。それが現代人の実態です。
体に良くないものを常食していながら具合がわるくなったら病院にいき、薬をのんで症状をごまかす。それでは決して健康にはなれないとすでに気づいているけども。それが自然欠乏症候群の最大の原因です。
ここで基準を「命」にすると、選ぶものは正反対になります。つまり、優先順位の違いです。
まとめ
人工的な環境では、指向的集中による疲労におちいり、その結果、衝動的行動、苛立ち、焦燥感、注意力低下があらわれます。
優先順位を「利便性」から「命」にすることで、えらぶ行動は正反対になり、心も体も健康になるでしょう。
まずは自分の体に何がたりないのか、リズムはどうなのかを感じとり、そして自分がおちいっている「不自然さ」に気づくこと。
そして、少しずつでもいいから「自然」と触れあうこと。そんな大切なことを学べました。