【父親の役割】ゴリラから学ぶ父性
父親の役割ってなんでしょう?
母性には母性本能という言葉がありますが、父性本能という言葉はありません。
今の時代、イクメンがもてはやされていますが、少なくとも家事を手伝うことが、生物学的によい父親ではないようです。
今回は、父親らしさについて、本来の姿を、類人猿で唯一家族で暮らす雄ゴリラから紐解きました。
父性本能という言葉はない
母親らしさは、子供を身ごもり、おっぱいをあげると芽生えるといいます。これは母性本能という”本能”です。
一方、父性本能という言葉はありません。父親らしさは、子供が生まれたら本能的に芽生えるものではないようです。
母親は子を10ヶ月も身ごもって、そして大変な思いをして生みます。僕は立ち合いをしたのですが、へその緒を介して母子がひとつに繋がってる姿は、宇宙船とつながってるパイロットのようです。
これは男にはない体験です。なので父親は、生まれてすぐに父親だっていう実感がわかないのもうなずけます。
類人猿からの進化
類人猿とは、見た目でわかりやすく言うと、しっぽのない猿です。人類と最も近い存在です。
人類の祖先は、
・1900万年前にテナガザルと別れ、
・1600万年前にオラウータンと別れ、
・900万年前にゴリラと別れ、
その後、人類(猿人、原人、旧人、新人)と枝分かれしました。
その人類で唯一絶滅をまぬがれたのが、僕ら現生人類です。
新人にはネアンデルタール人などいましたが、これも絶滅しています。その遺伝子の数%程度、僕ら人類にも混ざっているようですが。
オラウータンのオス
子育てはメスのみで、オスは単独で生活します。
まったく子育てに関与せずですね。
チンパンジーのオス
こちらは遺伝子的にはもっとも人間に近いのですが、オスは自分の子供を育てません。
チンパンジーは、血のつながりのないメンバーとも共同体を作ります。
そして、となりの集団と戦い、共同体を守ります。
しかし、常にボス争いをして内輪で殺し合いがあり、オスは自分の子供でも他人の子供でも関係ないようで、子育てに関与しません。
ボスが多くのメスと交配し子孫を残しますが、実際は、ちゃっかり者がけっこう子孫を残してるようですw
ゴリラのオス
これが人の父性にもっとも関係しているようです。というのも、類人猿で家族で動くのはゴリラだけだからです。
ゴリラは血のつながった家族の群れで生活しますが、シルバーバックという雄が一家の長となり、敵から家族を守ります。
そして、乳離れした子供を受け入れ、遊びにつきあいます。
寝転がってるシルバーバックのお腹の上で、じゃれている子ゴリラ。払いのけることもなく、寝転がって受け入れています。
さらに、争いがおこれば公平に関わり、困っていれば助けます。
雄ゴリラは、母親のいなくなった子ゴリラも保護するんだよ
まじか!!
ゴリラは、長い間の子育てで父親になり、家族となります。
そして、来るべき時が来たら、母子関係を引き離して、子ゴリラに対等な付き合いを教えて社会に出します。
ヒトのオス
遺伝子的にはチンパンジーに近いのですが、違いは家族と共同体どちらも持ち、となりの共同体とも連携できるところです。
血族だけ連携して子孫を残すなら、実は細菌でもできるようです。
しかし、血のつながりのないものと協力し合えたからこそ、人類で唯一絶滅しなかったといわれています。
これは、実は大脳が大きいからという理由ではなく、二足歩行により骨盤が狭くて、子供を産むのにも他者の協力が必要だったからといわれています。
かつ、ネアンデルタール人のように大きな動物を一撃で仕留めるほど身体能力が高いわけではなく、弱かったからこそ多くの協力が必要だったから。
もちろんオスの狩りだけではなく、メスもどこにいけばどんな食べ物があるか、おしゃべり好きだからこそ、生き延びれたようです。
結局、協力し合った方が、生き延びる可能性が高かったのです。
まとめ
父性本能はありませんが、ヒトもゴリラ同様に、長い間の子育ての中で父になり、家族となります。
そんな父親のもっとも大事な役割は、本能で子供と一体化しようとしてしまう母親から子を引き離し、社会にだすことだといわれています。
子供に公平な付き合いの中で、社会を教えることが本来の姿かもしれません。
いま、核家族で共稼ぎの世帯が多いと思います。うちもそうです。
その中で、父親も家事をするのは当たり前だと思います。
しかし、家事をすればいい父親かといったら、生物学的にはそうじゃないようです。
ときに、子育てで妻と衝突することはあると思いますが、
そんなとき、なんでも妻に同調するのではなく、
子どもの自立を考えて接することができるのは、父親ならではのようです。