薬膳と冬に多い体調不良
薬膳って聞いたことありますか?
「この時期いつも体調崩すんだよな」
「季節の変わり目はしんどい」
そんな方は薬膳を通して自然と調律しましょう!
未病の統合医療実践法として、富士の国薬膳様とのコラボで勉強会を行いました。講師として、中医師であり薬膳師の石部晃子様をお呼びし、“冬の未病に気づく薬膳” についてお話頂きました。
講義で学び、薬膳を頂き、 薬膳検定試験を受け、楽しく美味しく身につく講義でした。今回はそこでの学びをまとめました。
季節の変化との調律
東洋医学では、病気は自然との不調和状態と考え、 自然と調和する方法として陰陽五行論を用います。
陰陽道の根拠となっている思想が、古代中国で成立した「陰陽五行説」である。これは、「陰陽論」と「五行説」とを組み合わせて、宇宙から人事にいたる全ての現象を説明しようとする理論である。
~中略~
陰陽説とは、世界を対立する二元「陰陽」に還元し、森羅万象の状態を「陰陽」であらわそうとする理論である。
~中略~
「木・火・土・金・水」の五元素によって自然現象や人事現象のいっさいを解釈し説明しようとする思想を五行説とよぶ。すなわち、あらゆる自然現象や人事を範疇ごとに五つに整理し、それぞれが五行のいずれかに帰属するとみなす理論である。
出典 http://www.fafner.biz/act9_new/fan/report/ai/oni/inyohgogyoh.htm
例えば、12月は、 冬至にかけて夜が長く昼が短く“陰”が極まり、 生き物は寒さに縮こまり、脂を貯め込みます。
1月は寒さが厳しく なり、年末年始にご馳走で貯め込みすぎたら、 七草粥で消食します。
2月は風邪の時期ですが、 ゾクゾクする寒性にはネギや生姜の辛味で体を温め、 のどの炎症など熱性には同じ辛味でもワサビや菊の花、 大根おろしが効くようです。
季節の変化による体の対応や偏りをみて、不足には足し算で、 過剰には引き算でバランスをとる考えは、 自然に生きた先人の知恵であり、 節句行事が身近に感じます。
西洋は摂取の医学(足し算)といわれ
東洋は排泄の医学(引き算)といわれる所以だね
薬膳の視点
冬に多い血管障害(心疾患、脳疾患)の未病の症状について薬膳の視点の例をお伝えします。西洋のヒポクラテスも「汝の食事を薬とし、汝の薬は食事とせよ」とあり、食事の大切さを投げかけてます。
東洋医学基礎知識病気の原因:六淫(六個の邪気)
東洋の古代人は、季節の病気の原因を、その野生の感性と頭脳で、季節の気「➀風、②暑、③火、④湿、⑤燥、⑥寒」の行き過ぎたものとして、「➀風邪、②暑邪、③火邪、④湿邪、⑤燥邪、⑥寒邪」の六個の邪気だと感じました。
1月の痰湿症状:血管障害(心筋梗塞、脳梗塞等)の未病について
1月の症状は、寒さや忙しさから欲した温め補う食事や、年末年始のお酒やご馳走など、濃厚なもののとりすぎで体に「湿」がたまったことが原因とされています。
特に1月の湿邪は、体がご馳走とお酒で陽熱性に傾いているため、「湿熱」となる場合が多いです。
また頭がやらねばならぬことでいっぱい(陽の状態:交感神経優位)だと、体が陽に傾いていても、やり遂げるためにさらに陽のこってりしたものを取らざるを得ません。
それは体内にヘドロ「湿」がたまり続ける悪循環に陥らせます。「湿」は「べたべたし、重く濁り、しつこい」性質なので、気血の流れを詰まらせ、放置すると「心筋梗塞」や「脳梗塞」の恐れもでてくるでしょう。
整え方 清熱利湿の薬膳
そうなる前の「未病(湿熱)」に気づいて、「既病(血管障害)」を予防しましょう。未病のうちに気づけば、台所の地元食材で美味しく治せます。
湿熱の治し方は「清熱利湿」。湿熱邪はウィルスの別称でもあり、インフルエンザの予防にもなりえます。
薬膳では、春の七草(アブラナ科、セリ科、キク科、ウリ科の野菜、きのこ類・海藻類)を、生で薄味調理して熱を冷ましヘドロを排泄します。
酵素が豊富な白菜漬けや糖漬け、ご馳走後のりんご生食も消化を助けおすすめです。また、やらねばならぬことでいっぱいの気づまりを、気をめぐらせて楽にする「理気」の食材・・香りのよいゆずやみかんなど柑橘系を合わせてもよいでしょう。
年越しのせりそば、春の七草、白菜や大根にゆずや昆布を加えたお漬物は、冬季の健康を願った先人たちの教えなのです。
まとめ
・自然と調和する方法として、薬膳がある
・冬に多い疾患に、心臓疾患や脳血管疾患がある
・季節の変化や身体の対応の偏りを見て、不足には足し算、過剰なら引き算をする
この症状にこの健康食品、サプリといった足し算ではなく、 多忙で過剰な現代人には引き算の方が大切かもしれません。