【自律神経失調症】自然のリズムの障害
自律神経失調症って聞いたことあるけど、けっこう曖昧じゃないでしょうか?
なんとなく体がおもだるい。すぐ疲れる。やる気が起こらない・・。
病気ではないけど、健康でない状態を東洋医学では未病といいます。
本来、全身状態を整えてくれるのは自律神経系、内分泌系、免疫系であり、それぞれ協調しながら恒常性を保ってくれています。それが破綻するといろんな全身症状が起こります。
なかでも、自律神経系は生命を維持するのに必要な生理機能を自動的に調節している神経です。アクセル作用の交感神経とブレーキ作用の副交感神経でシーソーのようにバランスをとってくれてます。
今回は、この自律神経バランスが支障をきたすことで起きる自律神経失調症についてまとめました。どんな症状で何科を受診すべきかを中心にお伝えします。
自律神経とは
人は一つの細胞から人間になるまで数十億年かかりました。長い進化の過程でいろんなリズムの影響を受けました。海にいたころは月のリズムの影響が大きかったでしょう。潮の満ち引きは今でも人の呼吸と一致します。
陸に出てからは太陽のリズムに適応しました。ある種は太陽の光で賦活し、ある種は夜に賦活する。それらリズムがいくつか重なりあい、絶妙なあんばいで恒常性を保つために、自律神経は発達しました。
しかし、現代人のライフスタイルは、自然のリズムとかけ離れて生活しているので、いろんな問題を引き起こしています。
例えば、朝は電子音の目覚ましで目を覚まし、遮光カーテンをあけて、電車や車で移動して、一日中座りっぱなしの仕事をする。レンジで温めた食事をたべ、日が沈んでも電気をつけて活動しつづける・・・。不自然ですよね??
人の体の解剖的、生理的なところはほとんど変わっていないのに、生活が激変したことで、さまざまな不調が現れます。
自律神経系は、各臓器や血管、分泌腺などにつながっており、立ち上がると血圧を高めて脳にも血液を促したり、寒いと鳥肌を立てて熱を逃がさないようにしたりします。
健康的な人は交感神経と副交感神経どちらも高く、不健康な人は一方が常に高い状態かどちらも低い状態です。
運動後や精神的に緊張すると血圧って高いよね
どんな症状も必要があるからでてるんだよね
自律神経失調症とは
その不調の1つが自律神経失調症です。自律神経のアンバランスが引き起こす症状名であり、特定の病気を表す診断名ではありません。
症状は、何度も再発するような便秘や下痢、冷え性、めまい、頭痛など多岐にわたります。
その中でも、一定の臓器や器官に症状が集中した場合、診断名がつくことがあります。
例えば、精神的なストレスによって身体症状がでる心身症。
不安や緊張が便通や腹痛に問題を起こす過敏性腸症候群。
何年も続く頭痛。ストレス性のめまいとしてメニエール病や起立性低血圧。
ほとんどが生活習慣による過不足や、精神的なストレスにより症状が増幅します。
症状別の受診先
症状が2週間以上続いているなら病院へ行きましょう。ここでは症状別に診療科のおすすめを載せたいと思います。
①全身の疲労やおもだるさ・・・内科
②息切れや動悸・・・内科、呼吸器科、循環器科
③便秘、下痢、腹部膨満感、吐き気・・・内科、消化器科
④頻尿、残尿感・・・内科、泌尿器科
⑥めまい・・・内科、耳鼻科、神経内科
⑦手足のしびれや痛み・・・整形外科、神経内科
⑧月経不順・・・婦人科
まずは、かかりつけ医や上記診療科で診てもらい、納得がいかなければ心療内科がおすすめです。
特に、一般の身体科と心療内科、精神科、神経内科の違いが分りにくい方も多いので補足します。
身体科・・・内科、耳鼻科、整形外科、婦人科などそれぞれの体の症状を診る。
心療内科・・・ストレスが強いことで体に症状が出ており、心身両面から診る。
精神科・・・うつ病、神経症、統合失調症など精神面での症状を診る。
神経内科・・・認知症、脳卒中、パーキンソン病など神経の異常を診る。
症状から判断するとある程度いろんな科に重複するため、必ずこの科ということはないのですが、一応の目安として参考にしてください。
現代医療は西洋医学をベースにしており、専門特化した結果、人間丸ごと診ることに長けていません。だからといっても、まずは病院で原因を明確にすることが重要です。
自律神経を調べる検査
脳のMRI、採血、バイタルチェックをするなど検査をしても原因が不明かもしれません。というのも、 自律神経失調症は器質的には問題ないのが条件だからです。
心療内科でも、まずは体の病気の可能性を除外してから、心や自律神経の状態を評価します。自律神経の評価としては、心拍の変動を分析して自律神経の状態を測定する方法や、起き上がり前後で血圧を測定する方法などあります。
自律神経の整え方
治療には、症状を緩和する対症療法と、根本を改善する根治療法があります。症状で困って受診したはずなので、対症療法を行いつつ、今後症状が出ないように根治療法も行いましょう。
簡単にいえば、対症療法は他者の力をかりて症状を緩和する他者療法に頼ります。主に薬物療法、作業・理学療法、心理教育などあります。
それに対し根治療法は、自分で整える自己療法が基本です。自分にとって何が負担になっているか考えてみましょう。
運動不足?食事の偏り?睡眠不足?生活習慣や生活リズムの乱れを改善したり、人間関係のストレスを改善したいところですが、まずは、呼吸法をお伝えします。
というのも、自律神経系で、唯一意識しても無意識でも調整できるのが呼吸だからです。
血圧や脈拍、体温などは意識的にコントロールしづらいですが、呼吸はコントロール可能ですね。
自分で脈をとっても、息を吸っているときは、交感神経優位となり、脈が早まります。反対に、息を吐くと副交感神経が優位となり、脈もゆっくりとなります。
現代人は働きすぎの方も多いので、長生きするには長く息をする(ゆっくり息を吐く)ことが、自律神経バランスを整える秘訣です。