言えなくて後悔する方へ
アサーティブ・コミュニケーションとは、自己主張をさします。いっけん、自己主張というと、攻撃的な主張をイメージするかもしれませんが、自他尊重の自己表現です。
日頃、自己主張できない方や、言い方が悪くて相手を怒らせがちな方や、言った後に自責の念で悩む方にとって、とても使えるコミュニケーション法です。
3つの自己表現法
たとえば、混雑した喫茶店でコーヒーを注文したのにもかかわらず、コーラがはこばれてきたとき、あなたはウェイトレスにどう対応しますか?
①いそがしい昼時だし、むりを言えないとおもってコーラをのむが、あとで言えばよかったと後悔する。
②「注文したのとは違いますよ、何を聞いてるんですか」ともんくを言って取りかえてもらう。
③「コーラではなくコーヒーをたのみましたよ、いそがしいと思いますが取りかえてくださいね」ときちんと依頼する。
この例では、①はノンアサーティブ(非主張的)、②はアグレッシブ(攻撃的)、③はアサーティブ(自他尊重の自己表現)コミュニケーションとして分けられます。
①ノンアサーティブ(非主張的)
これは、相手にあわせ、自分の感情をおしころした行動です。イヤと思ってもはっきり断らないで、結果の怖さをかんじる傾向があって、引きうけてしまいます。すなおでなく、気持ちをおさえているだけに「私がゆずってあげたのに・・・」という恩きせがましい気持ち、さらには恨みがましい気持ちが残りやすいといわれます。
人に嫌われたくないという思いや、人との葛藤をさけたいという思いが強いと、この選択を選びやすくなります。
②アグレッシブ(攻撃的)
これは、相手のことは考えないで、何より自分のことを優先する行動です。自分の気持ちをおさえることなく、しかも相手をこうりょしないだけに、相手は不快な気持ちをいだきやすいといわれます。
他人から軽視されることを怖れ、相手に勝とうという思いがつよいと、この選択を選びやすくなります。
③アサーティブ(自他尊重)
アサーティブ行動とは、「自分の人権のために立ちあがり、自分の考え・気持ち・信念などを、素直に、他者の人権をおかすことなく、適切な方法で表現すること」です。
ポイントは、相手にはいりょしつつ、自分の考えや気持ちを、すなおに表現することです。
アサーティブの歴史
アサーティブな考え方は、アメリカで1950年代に自己表現が苦手な人たちのためのカウンセリングの方法として開発されました。
アルベルティ博士らは、自分らしく生きるためにアサーティブ行動をしょうれいしており、「わたしのしようとする行動は、この人と親しい関係になるのか、離れることになるのか」と、その時々に自問自答しつつかかわろうと進めています。
メッセージの送り方
ここで、どんなスタンスに立ってメッセージを送るかは、IメッセージとYOUメッセージの二つがあります。
先ほどの喫茶店の例でいうと、あなた(YOU)を主語にしたYOUメッセージでは、「注文してたのと違うよ、何を聞いていたの。取り換えてよ」と、相手を決めつけるニュアンスが感じられ、こうあるべきだといった断定的な響きがあります。
それに対し、私(I)を主語にしたメッセージでは、「私はコーヒーが好きで、このひと時を楽しみたくて寄ったの、だから取りかえてくださいね」と、抵抗感がでにくい響きがでます。
I am OK
You are OK
このスタンスでいれたら、きっと今より生きやすくなります。